電車のドア側に私は立っていた。
電車のドア側には、座席とドアを隔てる壁みたいなのがある。
私の立っていたがない側のドアが開くので身体を縦にして、一応降りる人用にとスペースを空けた。
ふと左側(座席側)を見ると、女性が上を向いたまま、隔てる壁に寄りかかって寝ている。
熟睡しているようだったが、私は女性を何回かチラチラ見た。
女性のロングの髪の毛が数本、隔てる壁から外に出ているではないか。
私は思った。
私がガッツリと座席とドアを隔てる壁に寄りかかったら、女性の髪の毛はどうなるのだろうか。
寄りかかっているところに、女性の髪の毛が巻き込まれたら、きっと女性は痛い、悲鳴をあげるほど痛いにきまってる。
もう一度、女性を見てみようか。
しかし、怖い。
上を向きながら寝ているから、いきなり目をバッと開けて私を睨みつけたらどうしよう、私が悲鳴をあげる側になるではないか。
勇気が出ない。
いや、もしやすでに電車を降りていたりするかもしれない。
とりあえず、どんなとこがあっても壁に寄りかからないようにしよう。
電車で座席とドアを隔てる壁に寄りかかるときは、女性の髪の毛に要注意だ。
意外とみん気にせず勢いよく壁に寄りかかってくるから危険だ。
また私の立っている側のドアが開いた。
その隙に女性を見てみる。
良かった、まだ熟睡していた。
いまふと思ったが、もし私が男性で、寄りかかったときに女性の髪の毛を巻き込み、女性を起こす、痛い何すんなよ!と、そこから恋が始まる、なんてストーリーはどうだろう。
まあ、お互い悲劇を上回るほどの容姿??がないと成立しない気がするが・・・
出会いなんて、多種多様だよ。