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はてなブログ10周年特別お題「(私の)好きな沖田総司10選」

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

 

再び、はてなブログのお題、について書こうと思った。

その名も『はてなブログ10周年特別お題「(私の)好きな沖田総司10選」』である。

 

私は、新選組が好きで、かれこれ8年くらい?(手書きの日記に2014年日野に行くとあった)、5月の祭りには必ず日野に通っていたりする。

そして新選組の中で誰が好きかといえば、沖田総司である。

にわかファンではあるけど、自分なりに沖田総司を好きでいるつもり。

 

司馬遼太郎の『新選組血風録』という本がある。

その本の中には『沖田総司の恋』と『菊一文字』という章があり、私はこのふたつがめちゃくちゃ大好きである。

kindle本で、好きなセリフなどがあれば、マーカーをつけているくらい(紙の本も家にある)

 

では、誰得なのかわからないけど、私が「好きな沖田総司10選」を書いていこうと思います。

 

1.医者のところに来て、娘と初めて話したときの沖田くん(沖田総司の恋P.438)

そのとき、不意に、背後で声がした。ふりかえると、娘がいた。老女を連れている。

「なにか、ご用でございますか」

と、娘がきいた。入りそびれている、と娘はおもったのだろう。沖田にも、この娘が平井家の家人で、たったいま外出からもどってきたということが、様子でわかった。

「いえ、ち、ちがいます」

と、あわてて足早に二十歩ばかり祇園社の方角に行ったが、そこで立ち止まった。ふりむいてみた。

可愛くない??いえ、ち、ちがいますなんて話しちゃう沖田くん、可愛い。

 

2.ちがいます、と言ったあと、大急ぎで娘のところに戻ってきて、何事もなかったかのように(おこったような顔で)ふるまう沖田くん(沖田総司の恋P.439)

(娘のところに戻ってきた沖田くん)あきれている娘に「患者です」と、いった。

娘は微笑してうなずいてくれた。うなずくと、細面なくせに、あごがくくれた。形のいい唇をもっている。

「あの、先生に取りついで頂けませんか。会津藩公用人外島機兵衛どのからお話は通じてもらっていると思いますが。ー私、沖田といいます。あの、総司ですが」

最後の名前の言い方、そこが可愛いじゃないですか。

 

3.土方歳三に清水寺に行くのを怪しまれる沖田くん(沖田総司の恋P.444)

そうしたある日、土方は、午後から出かけようとするのをみて、

「総司、待った」

といった。

「どこへゆく」

弱ったな、という表情を沖田はしてみせたが、罪のないうその上手な若者だから、

「紅葉を見にゆくのですよ」

「ほう、どこへ?」

「清水寺」

これは、本当である。ところが、

「おれもゆく」

と土方はいって、意地わるく沖田の顔をみた。

ありありと狼狽している。土方は。沖田が清水へゆくのではないとみていた。

新選組血風録に書かれている、近藤と沖田くん、土方と沖田くんたちの絶妙な?会話が楽しすぎる。

なんというか、それも沖田くんを引き立ててくれている?感じがしなくもない。

 

4.清水寺に着いて、音羽の滝のところで交わす、土方と沖田くんの会話(沖田総司の恋P.447)

「ああ、これが音に名高い音羽の滝か。しかし本当かね」

滝というものではない。ーー以下省略ーー

「本当ですよ」

「いや、一つ利口になった。おれが関東(くに)にいるころ想像していたところでは、あまり名高いから、轟々瀑々と落ちている飛瀑だろうと想像していた」

「土方さんの想像というのは、いつもそうですよ」

沖田は、くすっとわらった。

この沖田総司の恋は、土方と沖田くんの会話が、個人的だけど、かなり好きな箇所が多い。

沖田くんが、妙な咳をすると土方が思うところがある、そのことを土方が沖田くんに聞いてみる場面がある。

そこは沖田くんが良いというか、むしろ土方が良い(5番目のところ)

 

5.ころっとだまされる土方歳三がおもしろい(沖田総司の恋P.449)

「総司、お前、ちかごろ頭痛はしねえか」

「しませんよ」

「熱っぽい、てことはないだろうな」

「ありませんよ」

「うそをつけ。咳なんかしてやがるくせに」

「あれは癖ですよ。私は痰持ちですから。どうも京都にきてから水があわないのか痰が多くなったような気がする」

「そうかね」

ころりとだまされている。

そのとき、さっと陽が射し、楓の茂みから落ちてくる木漏れ日が、土方の足元にまるく輪をえがいて落ちた。土方はよろこんだ。

「これァ、句が出来そうだ」

おもしろすぎです、土方くん。

 

6.菊一文字を手に取り、慄く沖田くん(菊一文字P.598)

(これが、菊一文字か)

重さも、ちょうどいい。太刀をにぎっているてのひらが、重さを吸いこんでいささか過不足もない。まるで沖田に持たれるためにうまれてきたような刀である。

ーー以下省略ーー

沖田は、まだ昂奮がさめないでいる。やがて自分の差料をひろいあげ、

「またきます」

と立ち上がった。ーー以下省略ーー

「いや、私の分際では買えません」

「お売りするつもりでお見せしたのやおまへん。お差料の研ぎができるまで、かわりにお使いやすと思うて」

「あ」

沖田は真赤になった。のどがからからになり、身のうちが慄えるような思いをした。

「拝借します」

新選組血風録にある菊一文字は、沖田くんのセリフと行動が、とても好きで、沖田総司の恋よりも何度も読み返している章である。

 

7.菊一文字を拝借した帰りの沖田くん(菊一文字P.599)

ーー省略ーー沖田はふと、左手を見た。ーー省略ーー

その軒の闇が、わっ、と動いた。沖田はとびさがった。刀のツカに手をかけた。

いつもなら斬りすてているだろう。が、ぬかない。借りものだ、という気がしたのである。

「お人ちがいではありませんか」

と、この若者の声は、ふだんと変わらなかった。

相手は、三人だった。そのうちの一人が、みごとな上段で、間合いを詰めてくる。

(こまったな)

と、沖田は思った。

ーー省略ーー辻で道でも訊こうとする人のようにぼんやり立っている。

いきなり人に斬られようとしている場面でも、ぼんやり立つ沖田くん。

そんな姿を想像すると、いやはや、そのギャップが良い。

 

8.土方歳三に、ことのあらましを伝える沖田くん(菊一文字P.602)

「で、どうした」

と、土方は、もう春だというのに、火鉢をかかえている。

「逃げましたよ」

「むこうが?」

「私が、です」

土方はだまった。沖田が、菊一文字の一件を話したあとだから、きかずとも逃げた理由は察している。

コントかよ、とツッコみたくなるような(私だけだと思うけど)会話。

このふたり良すぎ。

 

9.土方が、相手はこんな感じじゃなかったか?と聞くのに答える沖田くん(菊一文字P.610)

差料一腰は、朱鞘。背は五尺五寸ぐらい、面長で、あごがのどまで垂れているのが特徴だという。

「総司、そういう人相じゃなかったか」

と、土方がいった。

「無理ですよ」

「なにがむりだ」

「顔なんか。私は土方さんのような猫目じゃないから、夜はだめなんです。それにあのときは顔をみる余裕はなにも。ーーあとを見ずに遁げちゃった」

沖田は、遁げる手まねをした。

土方はつい釣りこまれて笑ったが、すぐむずかし顔にもどった。

ここの場面、最高です。

8と9は好きな場面として、kindleの中でマーカーをひいている箇所。

9のふたりの会話、本当に良くないですかね??

 

10.殺された隊士の仇を打つために、戸沢鷲郎を菊一文字で討つ沖田くん(菊一文字P.626)

山城の空いっぱいが、星である。

その下で、利吉の小さな心臓が、不安な音をたてている。横に沖田が岩に腰をおろしている。体をのめらせ、笠を垂れ、蓑にうずもれるようにして、ねむっていた。

かすかな寝息がきこえる。ーー省略ーー

沖田が、物憂いそうに立ちあがり、笠、蓑をぬいで利吉に渡した。

ーー省略ーー

「そこに」

と沖田がいった。

「戸沢鷲郎氏がおられますか」

「何者だ」

「新選組の沖田総司です」

戸沢。ーー

ツツ、と踏み出し、大きく飛び込んで、剣を抜きあげた。が、正確にはその剣がわずかに鞘を離れきった瞬間、戸沢の笠が破れ、脳天が割れ、飛び込んだ姿勢のまま、勢いよく沖田の足もとにむかって頭からのめり、どさっと倒れた。即死している。

沖田は、前を見た。左下段に構えながら、

「私の用は済んだ。これで引きあげますが、おひきとめになりますか」

と、年長者らしい男をみた。

いやはや、かっこええよ沖田くん。

この場面も、kindleで何回も読み返している場面。

 

とりあえず、10個、書き終えてみた。

お題の10選なににしようかな~なんて考えていたときに、そうだ!私の好きな沖田くんの場面を書こう!とひらめいた、はいいけど、本当に10個書けんのかいな、なんて思いながら、本を見つつ書いてみたが、意外と書けた!(笑)

 

誰得なんだと言われれば、私、自分自身しかわからない、私だけニヤニヤして読める、自分自身しか得しない、そんな記事になってしまった。

まあでも、司馬遼太郎の新選組血風録は、短編集だから、読みやすくて面白いよ。

 

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