東京国立博物館の常設展の「日本の考古」では現在、重要文化財の「埴輪・盛装女子」が展示されている。
埴輪・盛装女子は、群馬県伊勢崎市豊城町横塚出土、古墳時代6世紀ごろの埴輪。
女性の埴輪は、たいてい半身像が多いのだが、この埴輪は珍しく全身像なところがミソ。
弥生時代の服装は「貫頭衣」といって、布の中央に頭を通す穴をあけ、両脇を縫い合わせたワンピース型の衣服だったと考えられている。
古墳時代になって、中国や朝鮮半島から、上下分かれるツーピースの服装が伝り、それは新しい文化であった。
埴輪・盛装女子を、じっくりジロジロと見ていた女は私です。
けい甲の武人も、ジロジロと見ることができたけど、盛装女子も、ジロジロじっくり見る価値ありの埴輪であると思います。
では、まず上半身あたりから見ていきます。
埴輪・盛装女子の横顔を見ると、ひときわ目に付くと思う、輪になったものが、耳あたりに付いているのがわかる。
こちらは「耳環(じかん)」という耳飾りで、耳たぶだと思うんだけど、そこに穴をあけて、アルファベットの「C」みたいな形の耳飾りを、穴に通して耳に飾る。
耳環の上には、小さな玉がついている。
左側にも、同じように、耳環と小さな玉がついている。
そして、上半身を見ていると、どうしても目がそちらにいってしまうという、頭の形。
この頭は、女性特有の「島田髷(しまだまげ)」という、結った髪の毛を櫛でとめるという、江戸時代の島田髷とはちょっと違う、古墳時代の島田髷という感じである。
そして、島田髷を結った頭の下には、鉢巻がしめてある。
かみつけの里博物館には、女性埴輪のヘアスタイルについて、詳しい説明文がある。
この女性は、華やかに着飾っているため、身分の高い人物であり、葬送の列や、儀式などに参加している様子だと考えられているようです。
こちらの埴輪は、東京国立博物館の平成館で、12月18日まで、常設展示「考古展示室」で、展示されている。
360度どこからも見ることのできる良い機会なので、ぜひ東京国立博物館の常設展示も、見学していただきたいと思います。
ちなみに、大きさは、国宝展でおなじみの「けい甲の武人」と、だいたい高さが同じ。
なので、入り口から入っていくと、目の前に大きな埴輪がお出迎えしてくれる。
このように、間近で重要文化財の埴輪を見学することってなかなかないと思うので、ぜひ、国宝展だけではなく、常設展示も見学してもらえればなあと思います。
身分の高い人は、だいたいおしゃれさん(それだけ良いものもちだから)