ねことメガネとアネモネと

古代史好きアウトドア好きな女が書きたいことを書くブログです

歯を抜くときの器具を知らないまま生きていこうと思う

2月のはじめに、虫歯の治療のため、歯を抜いてもらった。

ボロボロになった奥歯の隣の歯が、初期の虫歯になっていたからである(なんでボロボロなのかは、放置が原因)

私にとって歯を抜くことは、子供の時以来、むしろ歯を抜いてもらった記憶なんてあるのかな?っていうくらい、久しぶりのことだった。

 

いい歳こいて、歯を抜きますって言われたときには、え!?と、一瞬時が止まったけど、原始のように、麻酔もなにもしないで、いきなり引っこ抜くっていうことはないだろうと思うが、やっぱり歯を抜くって、怖い言葉だなと思った。

 

そしていざ、歯を抜くってときになったのだけど、ひとつ疑問がわいた。

 

「私の歯、何で、どうやって抜かれるの?」

 

私の子供の頃に比べたら、ドドーン!と医療が発達しているこの世の中、私のガリガリでショボショボのボロボロの歯を(ボロボロだけど歯の硬さは健在だと思う)どうやって抜くんだろうと思った。

 

「ま・・・まさか、昔、アニメで見たような・・・鉄のペンチとかじゃなかろうか」

 

工具のペンチみたいな形じゃないと思うんだけど、ペンチみたいなので、グイっと抜かれるんじゃないかって、また診察台の上でビクビクしていた。

ビクビクしている私の隣から、先生の声が聞こえた。

 

「では、麻酔していきますね」

 

で・・・ですよね~。

麻酔もなんにもしないで、いきなり抜くってことはないですよね。

私は目をつぶりながら口を開け、左の奥歯あたりにチクっと痛みを感じたあと、ブーーーーンという音とともに、私の奥歯は、次第に感覚がなくなっていった。

 

しかし、この麻酔が長いったらありゃしない。

たまに虫歯を削るときにも麻酔をしてもらうことがあるけど、それ以上になんだか時間が長い。

こんだけ麻酔をしないと、歯は抜けないんだ・・・と、私はまた恐怖するのであった。

 

それじゃあ口の中をゆすいでくださ~いと言われたときから、私の左奥歯は完全に感覚はなくなっていき、心の中で、私は歯に未練はない、ここまで酷くしたのは自分だ、と覚悟と反省をしていた。

 

そして再び口を開け、ついに歯を抜くときが。

「ちょっと押しますけど、痛かったら言ってください」

と言われ、グイグイと力が入れられる感じがした。

が、そのあと、グッグッと何かしているような感覚はあるのだけど、感覚だけで、実際どうやって歯を抜いているのか、ど素人の分析?では、全くわからなかった。

(どうやって抜いているんだろ、何してんだろうか・・・)なんて思っていたら、先生から「はい、口をゆすいでください、血が出てるかもしれないけど」と言われてから、はッ!と、口の中で血の味がすると、気が付いた。

 

口をゆすぐと、殴られた人のように、口からドバドバとお水と血が混ざっている。

(うわ~!私の口から、めっちゃ血が出てる~!!)と衝撃だったが、歯を抜いたんだから当たり前である。

口をゆすぐたびに、ドバドバと私の口から出る血。

そのあと、止血処置?みたいなのをしてもらい、虫歯治療へとなった。

 

友達や会社の人に「私、歯を抜いてもらったんだよね」というと、みな全員「え?・・・(沈黙)」という答えが返ってきた。

人生も折り返し地点という人たちから見れば、歯を抜いたって、そりゃあ、事件ですよね。

 

友達と電話をしていたときに、歯を抜いた話をした。

「歯を抜くときって、やっぱりペンチみたいなので抜くのかな?」

というと、

「そうじゃない?他、どんな器具があるんだろ」

みたいな話をしていたときに、ふと札幌市埋蔵文化財センターで見た、出土品を思い出した。

縄文時代の道具として、陳列されていたもののひとつに、スプーンみたいなのがあった。

日本語で言えば、匙、である。

 

スプーンはいまでも、ご飯を食べたり、料理に使う器具として、混ぜたりすくったりする、現代でも使われている道具である。

縄文時代の遺跡から発掘されたスプーンを見て、本当に道具って、いまも昔も変わらないものだなと思い知らされる。

用途、形、何も変わらないで、ずーっとその形でスプーンは生きている。

 

結局、歯を抜いてもらっている間、私は目を閉じていたので、歯を抜く器具がどういうものなのかはわからなかった。

ググれば、そんなの簡単に見つかるだろうし、知っている人は知っているだろうけど、私はあえて知らないままでいようと思った。

なんか・・・知ったときの衝撃が大きそうなのと、2度と歯を抜くことなんてしなくないからである。